音楽とか 林檎とか

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茎stem〜林檎

 

 林檎さんが大好きなわたし。

 なのに最近ネタが浮かばず、更新できませんでした。

 左腕も痛かったし(ベース弾いてもないのに)。

 

 なんか書くことないかな。

 いや、たくさんあるよな。

 でも、うまく書けそうにないな。

 

 そう思ったときには。

 もう、あれしかないのです。

 野球のピッチャーが投げる球がないときは。

 直球勝負。

 サッカーのPKで、どこ蹴ろうか迷ったときは。

 ど真ん中。

 

 そういう曲は、つまり。

 若い時期の林檎さんなら「丸の内サディスティック」?

 東京事変の頃なら「能動的三分間」?

 最近の彼女なら「NIPPON」? 笑

 

 まあ、わたしの場合、林檎さんのど真ん中といえば。

 

「茎」。

 

 それは、どんな曲か。

 某ウィキペディアによれば……





 初出は「茎(STEM)〜大名遊ビ編〜」

2003年1月22日発売のシングル、その中心曲。『真夜中は純潔』から約2年ぶり。

CDの1曲目は「迷彩〜戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱〜」

(9度終わりのある林檎ぶし。暴風雨圏というのは、ボーカルの録音のときにちょうど台風が来てたから)

2曲目に「茎(STEM)〜大名遊ビ編〜」

(歌詞は英語。大名遊ビっていうのは、ストリングスなど入っていて豪華なアレンジで、ビデオも江戸時代で豪華キャストなので。ジャケ写真はアラーキー荒木経惟

3曲目は「意識〜戦後最大級ノ暴風雨圏内歌唱〜」

(ギターのところをエンジニアのウニさんはピアノがいいと主張したが、林檎さんは意思を貫きギターになったとか。わたし大好きな曲)

 

 次に「茎」

2003年2月23日発売の3rdアルバム「加爾基 精液 栗ノ花」、その6曲目、中心曲。

5曲目の「やっつけ仕事」の軽妙なチェンバロが終わり、少し間をおいてスタート。

イントロはちょっとおどろおどろしい。

くり返すベースのフレーズは、どこか中東風で、異国から届いた便りのよう。

日本語が始まる。

かざらない、語りのような林檎さん。

げんじつ〜がゆめ〜の、め〜の音は次の小節のコードから9度。

エンディング近くでは、声にディストーション(歪み)をかけて元気を出す。

最後、エントリーナンバーワン、で終わる。

クレマチスが歌われています。

センニンソウ属の蔓性多年草

垂直に伸びる茎などない、大きな花のツル植物。

 

 もうひとつ「茎(ステム)」

12インチアルバムの「加爾基 精液 栗ノ花」に収録。英語の歌詞。

コーラスなしのバージョン。

アナログ好きのわたくし、最近、大枚をはたいてこのレコード買いました。

宝物!

映画「CASSHERN」のオフィシャルアルバム「OUR LAST DAY-CASSHERN OFFICIAL ALBUM」にも収録されているとか。

 

 最後に「茎」

2007年2月21日発売の椎名林檎×斉藤ネコ名義「平成風俗」収録バージョン。

シングルの豪華アレンジよりも、さらに豪華でエレガントに思います。

あの大惨事から5年を経て、より客観的な音になっているのだと思います。





 大惨事。

 そう。

 2001年9月11日。

 空へ伸びたふたつの大きな茎が、中東からの打撃で消えました。

 大勢の命とともに。

 中東。

 文明の発祥の地のひとつ。

 

 千年、万年、何十万年のあいだ、人間という種が育ててきた文明。

 確固として揺らがない人類の知識、技術、資産、物質、あらゆるインフラ。

 それらが、自らの手で、はかなく壊されます。

 まるで、うそだったように。

 人類の進化、人の英知など真っ赤なうそだったように。

 

 クレマチスは、きっと茎との対比なのです。

 強固に構築するものとは違う、ささやかな育てるよろこび。

 攻撃的にときに壊す力ではなく、受け入れ愛でる溶媒。

 

「日出処」の「赤道を越えたら」でも歌われています。

 太陽に照らされ地上に根ざすものと、月に愛され海を漂うもの。

 戦を起こすものと、平和をねがうもの。

 勝敗結果と経緯評価。

 合理性と感性。

 

 人間を信じるこころに向けて、真正面から絶望が襲ったあのとき。

 彼女は倒れたのです。

 それでも。

 彼女は立ち上がったのです。





  いいことがあっても、よろこび過ぎません。

  立ち続けます。前を向いて歩きます。

  たまには歌うかもしれません。

  カラ元気のディストーションだってかけます。

 

  だって。

  こんな世界にエントリーした命を。

  あたしのはじめてを。第1番目を。

  この子を、守りたいから。

 

 





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PS:911ののちあまり間をおかず、林檎さんは離婚を経験しています。そのことも、作曲に大きな影響を及ぼしているのではないかと思います。

種の存続。男と女。