音楽とか 林檎とか

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花魁〜林檎&浮雲 サヨナラ

椎名林檎&浮雲の作詞。

浮雲の作曲。

というこの曲。

ほら、やっぱり。

そう。

 

"シーズンサヨナラ"、"かつては男と女"、"sa_i_ta"、"長く短い祭"……

林檎さんに「作曲、やれば」

みたいにいわれて、作るようになったという浮雲さん。

彼が深く関わっている曲たちは。

ある時期から。

せつない。

 

才能と才能の関係。

人間と人間の結びつき。

そして……。

いずれにしても、「サヨナラ」がある。

 

アルバム「平成風俗」は、もうすぐ終わろうとしている平成の、傑作。

いや21世紀の傑作。

我が国の国宝です。

その聴きどころのひとつは、"カリソメ乙女"が終わり、この"花魁"がスタートする瞬間。

 

どこかアンニュイで異国情緒を感じる、英語での「全部ウソよ。バイバイ」の直後、モジュレーションのかかった、散乱するような単音のくり返し。

続いて、一拍目をぼかすために井上ウニさん(エンジニア)がワザとディレイ音を先に持ってきたAメロが、すこし無機的に始まる。

 

何度聴いても、ゾクッとする。

音楽を聴いているよろこび。

生きるエネルギー。

 

そのあとのサビに行くところのストリングスもいい。

サビでは絶頂を迎える。

声と弦が上がって下がって、まわって、めぐりめぐって……。

まるでサーカスのよう。

人生のよう。

ああ。

産まれてきて、よかった。

 

林檎さん。

あなたは、全部、お見通しなんだな。

ほんと。

こわいひとだ。

 

 

*"花魁"のPVが見当たらなくて、リンク貼れませんでした、悲。とってもいい曲なのに!

 

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りんごのうた〜椎名林檎 指

なんでこんなに泣けるのか。

音だけ聴いても。

映像見ても。

 

とめどなくあふれる。

 

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ちきしょう。

なんでこんなにスゴイんだ。

若いころから、なんなんだ。

ちきしょう。ちきしょう。

 

見当違いのライバル視。

軽くて安い焦燥感。

 

  暗く奥まったところを触れる指。

  熱くはありません。

  ひやっともしません。

  ただただ鼓動を伝えます。

 

https://m.youtube.com/watch?v=g-gu3YZzsEQ

 

韻を放ち、巻き舌を飛ばし、着飾る彼女。

でもいつも彼女は正直なのだ。

ホクロを取っても、服を脱いでも、彼女は変わらない。

敵意でざわめく聴き手の奥底に、一点のウソもない彼女が届く。

たとえ「いつも言葉は嘘を孕んでいる」としても。

 

こののち彼女はソロを休み、事変をはじめる。

 

取りきれなかった母斑細胞がふたたび活動しているのを見てとれるいまの彼女。

昔よりもはるかに聴き手に寄りそっている。あるいは聴き手のあしらいに長けている。

深読みし膨らます他者。まぎれもない自分自身を削り取ってさし出す自分。

彼女はどんなふうに解決したのか。納得したのか。

あるいは、解決していないのか。納得していないのか。

 

いずれにしても、音楽は、あふれる。

 

そうだ。

あれ、聴いてみようかな。

夢のあと。

本能〜椎名林檎 罪

椎名林檎は終わった、などとは思っていなかったよ。

ただ、見てしまったんだ。

拡声器を投げ捨てるかわりに、やさしく床に置くあなたを。

 

カメラのレンズにぶち当ててほしかったわけじゃない。

ずっと口につけていてほしかったわけでもない。

かといって、ナース服を破いて、歌わずに大股で去ってほしかったのでもない。

 

なにかが違う。

 

あなた自身に先がけて、おれはあなたから遠ざかった。

「勝訴」も「精液」も、ちゃんと聴かなかった。

 

つまり、おれが見たかったのは、敵意と軽蔑で光る瞳。

それは、ないものねだり。

必死のひとつのいのちを目の前にしても、なお。

 

https://www.youtube.com/watch?v=IPReYQkPkRY

 

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おれのようなリスナーは、あなたのファンとはいえなかった。

あなたの音楽を聴く必要はあっても、その資格はなかった。

 

年月が経ち。

あなたを見守る幸運が多くの形をなし。

あなたは変わらずひとびとに絵の具をふりかける。

この身に染み込むその色が、かすかにたてる音を感じながら、いつしか自分がゆるされたことに期待している。

もとより、そこにはなにもなかったのかもしれない。

ゆるそうとしなかったのは、自ら。

この先もずっと。

 

 

 

 

ハツコイ娼女〜林檎 いのち

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姫さまがご自分でプログラミングをされたときく曲。

控えめな、しかし確かなバスドラのビート。

そこへ、ご自分のAKGで録ったとおっしゃる2トラックの歌。

ハツネちゃんにガンとばしていらっしゃるかのようです。

恐いわ、とひるんでいると、サビが美しい。

と思いきや、おどろおどろしい間奏。

その霧を声でかき消すと、うるわしいサビ。

 

椎名林檎 - ハツコイ娼女 - YouTube

 

歌詞を見る。

ああ、涙があふれます。

 

エコーが描き出すものを目にした姫さまのこころのうちは、いかようだったでしょう。

そのひとかけらを、感じることができます。

 

何億のうちのひとつが入ることを許された偶然。

火が消えずにともり続ける幸運。

何十億年にわたって繕ってきた暗号の神秘。

 

奇跡以外の何ものでもない。

 

大それたことに怯むのか。

おのれの本能に畏怖するか。

人間であることを、生命であることを覚悟するか。

 

彼女はそのとき、人生でいちばんクリエイティブだった。

 

Shiina Ringo x Saito Neko - ハツコイ娼女 pv - Dailymotion動画

 

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  いまのうちに、知りたいものだわ

  粒のようなあなたは、いったい何を考えているの?

  ん?  ほっといてほしい?

  ふふっ、そうよねえ

 

「人間」が最高の関心事である姫さまなら、きっとそう声をかけたに違いない。

まどろみのなか、お腹に手をあてて。

 

 

 

 

 

追悼 ありがとう、麻央さん

「笑顔になれることがありますように」

 

ありがとう。

 

 

わたくしごとですが。

学生のとき、麻央さんと同じ三十代で闘病中だった女性を見ました。

脳外科の病棟。

小学生と幼稚園生の子を持つそのひとは、原発巣の乳癌からの脳転移がありました。

自分ごときに湧きあがる絶望感。

けれど、そのひとの闘う姿と、自分に課された使命が鼓舞してくれました。

 

いのちの縁にいて、なおひとを思いやった麻央さんから、

いままた勇気をもらいました。

 

ありがとう。

やすらかに。

 

2017年6月23日

 

神様、仏様〜林檎 正体見たり

じゅるじゅる、ごっくん。

 

CDシングルの相方  " 長く短い祭 "  を丸ごと喰らって姿を現わすもう一曲。

〜うまいものをくれ〜

〜じゃまをするな〜

〜誰ぞ好い人を呑み込んで、呑み込んで、呑み込んで〜

 

おお。

正体見たり。

 

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神様?

たしかに林檎は女神だけど。

仏様?

そのままじゃ生きられない身体で生まれたけれど。

化物?

才能のモンスターってのは、そのとおりだけど。

 

一等恐いのは、自ら。

人間。

彼女の興味はそれ。

たのしくて、気持ちよくて、ウマくて。

つらくて、苦しくて、ニガくて。

塩ツ辛くて、ナマ臭くて、かしましくて。

かなしくて。

 

あっちで炎上、こっちでフェイク。

狡ツ辛くてキナ臭い、おたがひ様の地球上。

法師がくり返す。

……諸行無常……

 

神も仏もない電脳時代。

みんなが突き落ちる先は、いずこ。

 

椎名林檎 - 神様、仏様 - YouTube

 

林檎は地べたに果てずに、どっか消えたなあ。

そう。

両A面のこのシングル。あれもこれも、どっちも本当の林檎。

もう落ち着いたかなあ。

 

 

 

 

長く短い祭〜林檎 花火

とうわけで、まだ残り半分ある2017年の使い道は決まった。

椎名林檎

好き放題、彼女の楽曲とMVを味わう。

 

観ずにいた時間を悔いながら、 2年遅れで  "長く短い祭"  を体験した。

 

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そう。

たしかにMVがスゴいクオリティだ。

多くのかたの解釈どおり、あれは不倫のはての物語だと思う。

 

けれど、いちばん重要な場面を指摘した文章はWEB上に探し出せない。

毒を飲み込んで崩れる最期。

修羅場近くでは男のほうから死ぬけれど、女も覚悟している。

不倫の愛の終焉は、みな最初から予期している。

身とこころのどこかで。

そうでしょう?  経験したみなさま。

 

椎名林檎 - 長く短い祭 - YouTube

 

楽曲そのものについていえば。

サウンドの素晴らしさには、完膚なきまで打ちのめされる。

 

オートチューンと浮雲は聴くものに"sa_i_ta"を思い起こさせる。

東京事変や彼女の過去を喚起する。

「蘇るひと世の走馬灯」とは一晩の営みであり、スタジオでありライブであり、いままでのすべて。

つまり彼女の、また事変のメンバーの、あるいは彼女に関わったすべてのひとの、かつて生きた様。

そののち「皆銘々選り取り全方位」に駆けて散る。

別離と邂逅をくり返す「さようならはじめまして」。

 

彼女は「人熱彷徨って流し流され    思えば遠くへ来たものだ」と打ちあける。

そして、いまや彼女のなかには「この侭ぢゃ行き場がない」ほど創造の泉が湧いている。

そう。

 「天上天下繋ぐ花火」とは、音楽。

彼女はそれをはっきり見ることができ、聴くことができ、からだ全部で感じることができ、創ることができる才能を授かって、おれたちの前に現れた。

同じ刹那に生きているおれたちは、宇宙の歴史のなかで巡って来たこの幸運を、いまよろこび、楽しみたい。

祭のように。

 

けれど、覚悟しなければ。

 ……ほんの仮初めが好いね……

別れは訪れる。

曲が終わるように。

人生のように。

 

そう。長く短い祭。

 

感極まる最後のシャウトこそ、おれたちの愛おしい林檎。

 

椎名林檎 - 長く短い祭 from百鬼夜行 - YouTube

 

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